■転移と逆転移■ |
心理療法の過程で、患者が自分にとって重要だった人物(親・祖父母・恩師・子供・・)へ向けた感情や態度を、治療者に向ける事を、転移と呼びます。この感情には次の2種類があります。
陽性転移…信頼・感謝・尊敬・情愛・親密感などの感情を持つこと 陰性転移…敵意・不信・攻撃性・猜疑心・恨みなどの感情
一方、患者に対するスタッフ側の無意識な感情や態度を、逆転移といいます。 |
ケアする家族や治療スタッフは、この患者からの転移の感情を分析して治療へ生かします。
多いパターンとしては、患者が親に対する甘えを治療者へ向ける子供の様な感情の様です。しかし、それをしっかり受け止めるには、治療者(家族)自身の性格や経験も重要なのかもしれません。
自分の経験上・・・私自身が子供でしたので、家族が「全面的に自分に子供の様に依存して来る」という感情を受け止める事が困難でした。そんな動揺を悟られてか(?)更に自分を受け入れて貰えないという不満をぶつけられ・・これはお互いに「陰性転移」の連鎖だったのかもしれません。
悩んだ挙句、意識的に自分の態度を変えられるのは「治療者=家族」の立場だけなのだという覚悟を決めてからは、状態は少しづつ好転した様に思います。 ただ・・自分の経験から申し上げて、慢性的になると、どうしても犠牲の感情や、ストレスが溜まるのも事実でした。上手な息抜き(癒す・発散・第3者にとことん甘えてみる)等のバランスを取る事も重要と思います。 |